日本で出版するためにオースター自ら目次を編んだという本書『トゥルー・ストーリーズ』。その内容は、これまでにオースターが様々な場所で書いてきたエッセイをまとめたもので、翻訳の柴田さんの仕事もいつもながら素晴らしい。
まだ読み始めたばかりだが、今朝方に読んだ以下に引用した箇所はとても印象的だったのでメモ代わりに残しておく。若きオースターが本をむさぼり読むさまと、それによって彼の内面に与えた大きな影響について語ったくだりである。
まさに、読書による人間改造である。こういう読書は、本の内容が栄養として自分の細胞に組み入れられていくのだろう。本気の読書はこうありたい。もちろん、このほかにも折り目を付けた箇所が何箇所もあり、この先を読み進むのはがますます楽しみである。Quoted from 『トゥルー・ストーリーズ』より(P.87)過去の二年間、私は狂ったように本を読みふけって過ごしていた。新しい世界がいくつもまるごと頭のなかに注ぎ込まれ、人生を変える輸血が何度も生じて血液の成分はすっかり組み換えられていた。~~中略~~あのころをふり返って、自分が何冊の本を吸収したかを思うと、ほとんど信じがたい気にさせられる。私はすさまじい数のそれらを飲み干し、様々な書物から成るいくつもの国、いくつもの大陸を喰らい尽くし、それでもまだいっこうに倦まなかった。ソクラテス哲学、ロシア小説、シュルレアリスムの詩。まるで脳に火がついたかのように、あたかも生存自体がかかっているかのように私は読みまくった。ある作品が別の作品につながり、ある思考は別の思考につながって、一か月ごとに私はすべてのことに関して考えを変えた。


コメント (2)
引用箇所はわたしも印象に残っています。
他の記事も興味深く拝見しました。TBさせていただきます。よろしくです。
投稿者: naki | 2004年05月21日 07:19
日時: 2004年05月21日 07:19
nakiさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
次は早く小説の新作を読みたいですね。
オースターファンの中には、翻訳が待てなくて
原書を読む、って人も多いと聞きます。
そのうえで柴田さんの訳書を読んで二度楽しむんだそうです。
投稿者: chief | 2004年05月23日 12:36
日時: 2004年05月23日 12:36