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観たかった映画『シービスケット』をDVDでいま観終えた。この物語、実話である。
馬主、ジョッキー、調教師という関係者全員が人生のどん底という逆境の元で一頭の馬に賭ける。敗者復活の美学で貫かれた作品で、普通の人なら(皮肉じゃないよ)素直に感動できるはず。前半戦のシービスケットが勝ち進み成功していく様はいわば前菜で後半に向けた前フリ。といっても実話なので本人たちは「前フリ」なんて気持ちはサラサラなかろうが……。で、ここからが見所。成功の頂点にあったシービスケット関係者なかで、ホントつまらないことが原因でジョッキーのレッドが再起不能の大怪我を負う。このあたりからがこの物語の真骨頂である。
足に大怪我したレッドはジョッキーの座を降ろされる。代役を勤めた友人ジョッキーが憎らしい奴なら「負けるなレッド!」と感情移入もしやすいのだが、こいつがまたいい奴で泣かせるのであるから始末が悪い(笑)。足の怪我を理由にレッドをシービスケットに乗せようとしない馬主に向かって、レッドを乗せてやりたいと願う代役(いい人)の彼は「足よりも先に心がつぶれる」と言う。このあたりも何ともニクい。もちろん馬主も悪意ではなく、善意でレッドを気遣っているのだ。
といった感じで、全員が「いい人」なのがこの物語のミソだ。これがフィクションだったら、周囲は悪人ばかりで、そんな中で立ち向かうヒーローの物語になるのだろうが、この映画の中では登場人物がみんな温かい心の持ち主なのである。そのあたりが本作に「癒し」効果を加味している。
レッドとシービスケットのラストシーンは思わずこぶしを握る感動モノ。


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