藤沢周平の短編集「長門守の陰謀」を読みました。1篇目の「夢ぞ見し」は、武士の世界を女性の目から見た物語で、こんな言葉が藤沢作品に適しているかわからないが、実にチャーミングな作品です。亭主が連れてきたままま長逗留する客人について、友人の婦人とあれやこれや話したり妄想(笑)したりする様もいまどきの主婦の暮らしのようで楽しい。続く「春の雪」も女性が主人公だ。あたりまえの方程式のようにいかない女性の気持ちが自然と出ていました。
表題作の「長門守の陰謀」は、荘内藩のお家騒動を題材とした作品で、歴史小説の王道といえるテーマを扱いながらも藤沢周平節は存分に発揮されています。主人公からは悲哀も伝わってくるが、1本の筋がとおった気持ちのいい作品だと思いました。
巻末の「解説」によれば、この「長門守の陰謀」を読む前に「暗殺の年輪」に収録の「ただ一撃」に目を通しておくといっそう楽しめるとのことです。舞台も同じ荘内藩で、同じ登場人物たちも出てくるそうで、ぼくは前後が逆になってしまいましたが明日にでも「暗殺の年輪」を探してみようと思います。
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