藤沢周平の「獄医立花登手控え」の第1巻を読みました。
立花登は牢屋に詰める医者で、柔術の達人です。主人公が剣士ではないので、チャンバラものの時代小説とは少し雰囲気が違っています。
囚人の依頼を受けて不正を暴いたり人助けをしたりといったところは、先だってのエントリーで紹介した「よろずや平四郎活人剣」と多少趣が近いかもしれませんね。
とは言え立花登は、町医者である叔父の家に居候する身分です。叔母らは下男同様に扱われ、従姉妹からも軽く見られています。部屋住みだった登が医学を志し、すでに江戸で医者として自立していた叔父のもとを頼って上京したのですから、文句も言えないのです。
この小説は、主人公の人間味あふれるキャラクターが際立っている。
刀を振り回さない柔術というところもどこかやさしげだし、ときどきヘマをするあたりも愛嬌がある。また、従姉妹のちえやその友人たちのませた言動に翻弄される初々しさもあります。
激しいチャンバラものが苦手な人でも愉しく読める時代小説だと思います。
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